体験企業レポート

中途採用

株式会社スズミ

企業紹介

精密板金メーカーとして、板金加工から塗装・印刷まで一貫生産し、少量多品種から量産まで柔軟な対応が可能。最新設備と高い精度で月間1万アイテムを生産する体制を整えており、幅広い製品を提供している。

採用課題

事業環境としては受注増加・事業拡大フェーズであるが、人材の確保が以前よりも難しくなっていると感じていた。具体的には、新卒(高卒)採用に関しては、人口減少の影響もあり応募者の減少。また中途採用に関しては、会社の魅力をどのようにアピールしてよいのか分からないため、スズミのものづくりに共感した人材からの応募が少ないと感じていた。今後の事業拡大を見すえた時、人材の確保がネックにならないように「採用力」をつけていきたい。しかし、どのように自社の「採用力」を培っていけばよいのか困っていた。

コーディネーター

株式会社イノベーションシフト 代表取締役 浪木克文 氏
■プロフィール/(株)リクルートで23年間、人材をベースとした地域活性事業にあたる。人材活用や育成による組織強化~地域の活性化へつなげる講演や研修経験が豊富。2021年福島市に移住し、地方での働き方を実践し、地方採用におけるターゲティングから採用実務の強化、そして自走できる仕組みづくりを得意としている
■支援内容/採用マーケティング視点を踏まえた採用活動への理解促進と実践レクチャーを実施

STEP1

現状の理解を深めることからスタート

第1回目:2023年12月12日

工場見学でものづくりを理解する

まずは、2022年に操業を開始した新工場の見学を行いました。
製造工程としては、鉄、ステンレス、アルミの薄板をレーザー加工機で切断→ベンダーという専用機械でまげて、溶接加工→塗装→出来上がった製品の検査→出荷という流れです。
最新鋭の機械設備が並んでおり、自動化されている工程もありました。また、マシンが作業内容をサポートする仕組みが出来上がっており、未経験入社の方や外国人の技能実習生も働いていることが特徴的であると感じました。そして、工場内は冷暖房完備で5S管理も徹底しており、労働環境も快適でした。

ブレストで会社の魅力を発見する

工場見学後は事務所にもどり、スズミ様のものづくりの特徴や魅力について、ディスカッションを行いました。参加した社長・工場長・社員のみなさんから、ブレインストーミング形式でたくさんの声をあげていただきました。

■出てきた声
「仕事でお客様の期待に応えた時の喜び」、「最先端マシンを操ること、操れたときの達成感」、「自分の裁量で仕事が出来る」、「製品が国内外で使用されること」、「設備の新しさが魅力的」、「社長の人柄や上司のサポート」、「有給も取りやすく働きやすい環境」など

工場見学と話し合いのなかで、スズミ様のアピールポイントをたくさん見つけることができました。
次回はこのアピールポイントの深堀と整理をすることとして、第1回目を終了しました。

STEP2

採用のポイントは「誰に」「何を」「どのように伝えるのか」

第2回目:2024年1月11日

採用を成功させるために重要な要素とは?

2回目の前半は、コーディネーター浪木さんによる採用力を強化するためレクチャーから始まりました。
採用成功している企業の特徴として
「計画・準備をすること」
「自社の採用ターゲットを明確にすること」
「会社をあげて採用活動に取組んでいること」

という傾向がみられること。

そして、その中でも特に重要な部分が
「自社の採用ターゲットを明確にすること」
であり、具体的には3つの要素に分けられると解説がありました。

■採用を成功させるために重要な3つの要素■
「誰に」=求める人物像や採用ターゲットを設定して、ペルソナを決める
「何を」=求める人物像、ペルソナを振り向かせるための会社の魅力や特徴
「どのように伝えるのか」=訴求ポイントをつくる、採用手法や媒体の選定など

※求める人物像、採用ターゲット= 年代や性別、居住地、スキルなどのスペックなどを基本とした人物像
※ペルソナ=特定の人物像を想定し、趣味や価値観、行動特性なども含めて詳細に想定すること

ディスカッションを通して会社への理解を深める

2回目の後半では「誰に」「何を」の部分を、より具体的にするためにグループに分かれてディスカッションを行いました。

【誰に】
求める人物像やペルソナの設定をしました。
ポイントは、実際にその人がイメージできるくらいに詳細に考えること。
スズミ様で実際に活躍している方を想定し、年齢、家族構成、趣味、休日の過ごし方、転職をしようとした時の気持ち、入社後のギャップなどを想像しながら詳細に作り上げていきました。


【何を】
第1回目の工場見学やブレインストーミングで出された内容を、さらに深堀りしました。
例えば、
「自分の裁量で仕事が出来る」は、「効率を考えて、自分で優先順位をつけて作業ができる」「加工方法や手順は、日々考えながら創意工夫する楽しさがある」
「有給も取りやすい」は、「急な体調不良でも、電話で連絡がしやすい」

など、より具体的な内容にまとめました。
そしてその内容を、仕事軸(業務内容)・組織軸(事業・ビジョン)・人軸(経営者・仲間)・待遇軸(研修制度・福利厚生)という4つの軸に分類して、分かりやすくまとめました。

以上、第2回目はレクチャーとディスカッションを通じて、採用のポイントである
「採用計画・準備をしっかりすること」
「会社をあげて採用活動に取り組むこと」
を実践形式で学びました。

STEP3

採用力強化に向けたアクション

第3回目:2024年1月30日

採用ターゲット×会社の魅力→求人票に表現する

3回目は、採用を成功させるために重要な要素のうち
「どのように伝えるのか」について、理解を深めました。

2回目で話し合った「求める人物像や採用ターゲット」と「深掘りした会社の魅力やアピールポイント」を掛け合わせて、実際の求人内容に落とし込んでいきます。スズミ様の中途採用でターゲットとなる未経験者が、仕事内容や扱う製品をイメージできるように詳細に作っていきました。

■仕事内容の例
ビフォー「レーザー加工機を操作し、金属板に穴をあけ、外形切断した材料を別の加工機で曲げ加工して形にする」
 ↓
アフター「鉄・ステンレス・アルミの薄板をレーザー加工機で切断します。ベンダーという専用機械でまげて、溶接を施し塗装します。できた製品の検査をして出荷する」

また求人媒体について、コーディネーター浪木さんより解説がありました。
代表的な求人媒体の特性や利用している年齢層を理解したうえで、
「求める人物像や採用ターゲットによって、適切なものを選定することが大切である」
「求人媒体だけでなく、最近ではSNSを活用した求人活動をしている企業もある」

と紹介がありました。
スズミ様からは、採用ターゲットの目線を踏まえると「ネットで求人を探すことが多いのではないか」「ネットはスマホで見るのではないか」という意見から、今までのハローワークでの求人に加え、indeedなどの求人媒体の活用を検討することになりました。

まとめ、その後のアクションについて

採用活動にとって大切な
「計画・準備をすること」
「自社の採用ターゲットを明確にすること」
「会社をあげて採用活動に取組んでいること」

を、実践形式で行ってきました。

その中でも社長・工場長・社員の方が、会社の魅力を話し合い、ターゲットに伝える文言を考えることは、スズミ様にとって採用力を強化するきっかけになったと感じました。
そしてこれらの取組みから、「実際に民間の求人媒体を活用して求人をしてみよう」というアクションにつながっています。求人作成の際にも「職場環境を伝えるために写真があった方がいい。すぐに撮影しよう」という会話がでてくるなど、当初スズミ様が抱えていた「会社の魅力をどのようにアピールしてよいのか分からない」という状況から大きく進展していると感じました。

「今まで公共職業所での求人のみであったが、求人媒体を活用することで採用活動の幅が広がった」との感想も聞かれました。

3回の取組みを通じて、採用手法を学び、実践していくことで魅力的で効果的な求人原稿が完成し、採用活動にプラスの影響を与える結果につながりました。