体験企業レポート

株式会社 朝日ラバー
企業紹介
朝日ラバーグループは、「光学」「医療・ライフサイエンス」「機能」「通信」の4分野で多様なゴム製品を展開し、暮らしを豊かにする製品を提供している。独自技術を活かし、車載LED照明や医療機器用部材、RFID保護カバーなど、幅広い用途で革新を追求。新たな価値の創造に挑戦している。
採用課題
大学生の新卒採用に注力しているものの、インターンやWEB説明会が採用に直結していない状況があった。また、勤務地や仕事内容が配属後に決まる点が学生にとって不安要因となっている。そのため、仕事の魅力を効果的に伝える方法や、訴求力の向上が課題だと感じている。
コーディネーター
株式会社アフターリクルーティング 代表取締役 池谷昌之 氏
■プロフィール/(株)リクルートで人事(採用)、研修・採用に関する企画営業を経験し、独立後は採用力強化に尽力。過去3万人を超える学生に就職活動における講演実績多数。外部との関係作り~定着までの構築に強みを持ち、採用手法から定着までの構築を得意としている。
■支援内容/インナーブランディング=会社の理念や想いを従業員一人一人が理解し共感する風土づくりを通して、採用と定着を支援すること。
STEP1
技術の現場と社員の声から学ぶ会社の魅力
社員が語る「働く理由」——社会に貢献できるモノづくりのやりがい
初めに簡単な自己紹介をした後、朝日ラバーとはどんな会社なのかの説明と社員の方々へのヒアリングが行われました。
<朝日ラバーとはどんな会社?>
同社には4つの工場があり、それぞれが異なる分野で製品を生産しています。
白河工場(白河市):光ファイバー関連製品を製造
白河第二工場(白河市):医療・通信系製品を担当
福島工場(泉崎村):卓球ラバーを中心に機能性ゴム製品の製造
福島第二工場(泉崎村):医療用ゴム製品を開発
事業の幅広さと専門性が感じられるラインアップです。それぞれの工場が強みを活かし、同社のものづくりを支えています。
<社員が語る「働く理由」>
池谷さんより、なぜ朝日ラバーを選んだのか・実際に働いてみての感想がヒアリングされました。
社員の方々が入社を決めた理由には、「社会に必要とされる製品を作るやりがい」が大きく関係していました。
医療、車載、電子機器など、幅広い分野で活用される高機能ゴム製品を開発し、人々の生活や産業を支える使命感が、社員のモチベーションにつながっています。
「自分が関わった製品が世の中で使われているのを見たとき、大きな達成感を感じる」という声も多く、技術力を活かしたモノづくりの醍醐味を実感できる職場です。
<入社前後のギャップ——良かった点と改善点>
実際に働いてみて感じた良い点として、社員たちは次のように語っています。
・早くから責任ある仕事を任せてもらえる
- 「入社直後から取引先との打ち合わせに参加できた」という声があり、若手のうちからチャレンジできる環境が整っています。
・社会を支えるモノづくりに携われる
- 「自分の手がけた部品が医療機器や自動車に使われており、誇らしい気持ちになる」という声もあり、仕事のやりがいとして挙げられています。
・働きやすい環境
- 「時間単位で有給が取れる」「相談しやすい雰囲気」といった意見もあり、柔軟で働きやすい職場環境が整っています。
一方で、改善点として最も多かったのは「人手不足」に関する意見でした。
・業務の多忙さ
- 「業務量が多く、毎日忙しい」という声もあり、効率的な働き方の模索が今後の課題となっています。
朝日ラバーは、社会に貢献できるモノづくりを通じてやりがいを感じられる職場。充実した待遇や働きやすさに加え、自身の技術や仕事が世の中に役立つことを実感しながら成長できる環境が、社員の満足度を高めていると感じられました。

最先端技術に驚きと特別な思いを感じた現場見学
朝日ラバーの工場見学では、最先端の技術が詰まった製品づくりの現場を間近で見ることができました。
最初に訪れた白河工場では、光の技術を活かしたユニークな製品が目を引きました。
LEDの色を変えるゴムキャップや、温度差から電気を生み出すフレキシブルペルチェなど、実用性と未来性を兼ね備えた技術が印象的でした。
次に訪れた白河第二工場では、医療分野で活躍する製品が数多く生産されていました。
ウイルスを識別するシリコンチップや、病院で使われるICタグなど、医療現場を支える精密な技術に驚き、特に、人命に関わる製品を手掛ける使命感は、社員のやりがいにもつながっていると感じました。
最後に訪れた福島工場では、卓球ラバーの製造を見学。ここでは、自社設計の金型づくりに強い思いがあり、月に5~6個もの新しい金型が作られているとのこと。世界中で愛用される卓球ラバーが生まれる現場には、ものづくりへの情熱が感じられました。
今回の見学を通じて、朝日ラバーの技術力と製品の幅広さに触れるとともに、社会に貢献する仕事への誇りを強く感じることができました。
STEP2
ターゲットに絞った会社の魅力の深掘り
社員インタビューから見える職場の魅力
今回のインタビューでは、特に大学卒の技術者や、他社を経験した転職者・再入社社員に話を伺い、外部の視点から見た朝日ラバーの魅力を深掘りしました。
<働く喜びとやりがい>
仕事を通じて大きな達成感を得ています。特に、「自分が設計した製品が世の中に出る瞬間」や「現場の課題を解決し、感謝される喜び」 が、技術者にとってのやりがいとなっています。
・技術者視点のやりがい
「試作から製品化まで一貫して関われるため、モノづくりの醍醐味を実感できる」
「自分の開発した製品が、医療や産業の現場で使われていることを誇りに思う」
・転職者・再入社社員の視点
「他社を経験したからこそ、朝日ラバーの技術力と職場環境の良さを再認識した」
「社内の風通しが良く、意見を出しやすいので働きやすい」
<職場環境と人間関係>
社員同士の距離が近く、チームで協力する文化が根付いているのが特徴です。
「上司や先輩が積極的に声をかけてくれるので、若手でも安心して働ける」
「急な休みにもチームでカバーし合う体制があるので、働きやすい」
「プライベートでも交流があり、仕事の相談がしやすい」

地域密着型企業の強み
アルムナイ採用(元社員の再雇用) によって、以前勤めていた社員が戻ってくるケースも多く、会社への信頼の高さが伺えます。
「戻ってきても違和感なく働ける雰囲気がある」
「転職を経験したからこそ、改めて朝日ラバーの良さを実感した」
また、福利厚生の充実も社員の定着率の高さにつながっています。
・年間休日126日・時間単位の有給取得が可能
・育児休暇や看護休暇の制度が整っている
<まとめ:大学生にとっての魅力発信ポイント>
今回のヒアリングを通じて、大学生にとって 朝日ラバーが魅力的に映るポイントが明確になりました。
・試作から製品化まで関われるため、モノづくりの実感が得られる
・風通しが良く、若手でも挑戦できる環境がある
・医療や工業など、社会に貢献できる製品を作っている
・福利厚生が充実し、長く働ける職場環境が整っている
次回、これらの魅力をどのように学生に伝えていくか、具体的な発信方法について話し合います。
STEP3
社員の声を活かした大学生採用戦略の再構築
社員の入社してからのストーリーを発信する
今回のディスカッションでは、まず社員へのインタビューが行われ、実際に企業内で働く社員たちの生の声を採用活動にどう盛り込むかが議題となりました。
参加した社員の多くは、朝日ラバーの魅力的な福利厚生や社員同士の良好な人間関係を強調しました。
仕事のやりがいの面では、以下の意見が印象的でした。
・自分でモノづくりの形を作ることができる(設計)
・自由度の高い環境がモチベーションを高めている
・エンジニアとしての成長スピードが速い(会社が多様な学びの機会を提供してくれる)

企業の魅力をどう発信するか
インタビューの内容を受け、採用活動における企業の魅力発信方法についてディスカッションが行われました。
池谷氏は、「企業の魅力を伝えるためには、ストーリー性が重要。どれだけ進化し続けてきたかを強調するべき」と述べ、過去10年間の製品の変化や成長の軌跡を見せていくことが効果的だと提案がありました。
また、会社の無限の可能性や将来性を伝えることが、特に若い社員にとって魅力的であると強調しました。このストーリーテリングのアプローチが、学生にとって企業をよりリアルに感じてもらえる方法だと感じました。
さらに、福利厚生や働きやすさについても言及がありました。社員や、その家族にも「この会社に入ってよかった」「この会社でずっと働いてほしい」と思ってもらえる制度が整っている点は、参加者全員が納得した魅力部分でした。
<採用活動の改善点>
採用活動における課題として、学生に対する企業情報の伝え方が挙げられました。
今までは、企業情報についてのみの会社説明を、学生が知りたい情報や実際に働く社員の声も含めた内容にブラッシュアップすることで、より魅力的な内容になるとアドバイスがありました。
その上で、企業のわかりやすいキャッチコピーを考え、学生に響く会社説明の資料を作成していくことになりました。
STEP4
成果とまとめ
大学生向け資料を刷新し、採用活動の質を向上
今回の伴走支援の内容をもとに自社の魅力を言語化し、今まで使用してきた会社説明用の資料を大学生に伝わりやすい説明資料へと刷新しました。
情報量よりも分かりやすさを重視し、膨大だった文字量を削減。社員インタビューを基に作成した新資料は、2月20日の山形大学での講義にて、約140名の学生を対象に展開されました。
講義後は質疑応答時間が延長されるほど反応が良く、「興味が湧いた」「工場見学に行きたい」といった声が多数寄せられました。採用担当の佐藤氏は「今後は動画制作やSNS開設にも挑戦したい」と前向きに語り、採用広報への意欲を高めています。
また、第三者の視点が入ることで自社の棚卸しや従業員の思いに触れる機会となり、伴走支援は全体を通して非常に有意義だったと振り返りました。
<まとめ>
今回の3回に渡る専門家支援により、社員のリアルな声を基に企業の魅力をどのように発信するかについて多くの洞察が得られました。特に、企業の成長ストーリーや実際の社員が語る働きやすさややりがいを強調することが、大学生に対する魅力を高める重要な要素であると感じました。
今後は、社員の声を取り入れたストーリーテリングを中心に、採用活動をより魅力的にしていくことが求められます。
